候補地の比較

大阪の副首都候補地を、同じ条件で比べる必要があります

大手前、万博記念公園、咲洲庁舎周辺。大阪の副首都候補地として名前が挙がる三か所を、内陸か湾岸か、確保できる面積、交通、医療と大学、災害リスクという同じ項目で並べました。万博記念公園ありきではありません。

比較検討する必要があります

大阪府内で副首都の中枢施設をどこに置くのか。候補として名前が挙がるのは、大手前、万博記念公園、咲洲庁舎周辺です。ところが、この三つを同じ物差しで比べた資料は、公開されていません。

私たちは、万博記念公園に決めてほしいと言っているのではありません。同じ条件で比べてほしい、と言っています。

比べる前に決まってしまうのが、いちばん困ります。すでに府庁があるから大手前、既存の高層庁舎があるから咲洲。そういう決め方は、平時の便利さから出発しています。副首都に求められるのは、東京が止まったときに国の判断を引き継げるかどうかです。出発点が違えば、答えも変わります。

三つの候補地を比較してみました

公表されている資料から拾える範囲で、同じ項目に並べました。数字の性質がそろっていないところは、そのまま書いています。

比較軸大手前万博記念公園咲洲庁舎周辺
内陸か湾岸か上町台地の上。ただし周辺の低地と湾岸の被災に影響される内陸。津波の直接の影響を受けにくい大阪湾の人工島。橋とトンネルで結ばれている
現在の機能府庁、府警、国の出先機関が集中北部広域防災拠点、後方支援活動拠点府の行政部局、高層庁舎、港湾とMICE
確保できる面積検討対象は5区画で約4.1ヘクタールとの情報。最大の区画は約2.3ヘクタール公園全体は約258.8ヘクタール。ただし建設可能面積ではない。未利用地調査では14区画で約8.2ヘクタール、最大の単一区画は約2.0ヘクタール咲洲庁舎の敷地は約2.5ヘクタール。夢洲は別の案として扱うべき
交通Osaka Metroと京阪の2事業者大阪モノレールOsaka Metro
半径2キロの人口約18.2万人約10.2万人約2.6万人
半径5キロの人口約126.2万人約71.6万人約12.9万人
医療(半径5キロ内の災害拠点病院)6病院、4,413床2病院、1,413床なし
大学・研究市街地に各種機関大阪大学をはじめ大学と研究機関が周辺に集積周辺に大学・研究機関は少ない。展示・会議施設が中心
災害リスクと課題上町断層帯。機能の集中、区画の分散、建替え中の業務継続、文化財と景観、参集正味の建設面積、法規制、既存利用との両立、道路閉塞とモノレール停止津波警報時の参集、橋とトンネルへの依存、近くに災害拠点病院がない
いちばんの強み行政、医療、人口、交通の即応性内陸、防災、空間、医療と研究と住宅の均衡既存庁舎、港湾、MICE、ホテル

出典は政策提案資料「北摂副首都構想」第1版。半径人口は2020年国勢調査の夜間人口です。病床数は、災害時に実際に使える空床数を示すものではありません。258.8ヘクタールは公園全体の面積で、建てられる面積ではありません。各地点で公表されている面積は性質が異なるため、最終的には正味の建設可能面積を同じ条件で確認する必要があります。

単純な面積比較だけでは不十分です

大手前が約4.1ヘクタール、万博記念公園が約258.8ヘクタール。この二つを「4.1対258.8」と単純に並べるのではなく、まず何を比べるべきかを整理する必要があります。

万博記念公園の258.8ヘクタールは公園全体の面積です。森があり、法面があり、接道や高さの制約があり、モノレールが通り、既存の施設もあります。すぐに建物を建てられる土地ではありません。2022年に大阪府が調べた未利用地は14区画で約8.2ヘクタール、そのうち最大の単一区画は約2.0ヘクタールでした。しかもこれらは、行政の中枢施設を建てる前提で選ばれた土地ではありません。

大手前のほうにも事情があります。5区画約4.1ヘクタールは報道ベースの数字で、区画ごとの詳細は公式資料で確認できていません。そして大手前は更地ではなく、いまも行政が動いています。建て替えるなら、工事の間の業務をどう続けるのか、仮移転や工事の動線をどう確保するのかが、そのまま費用と工期になって返ってきます。

比べるべきなのは、必要な機能を一体的に置ける正味の建設可能面積と、災害時の物資集積や宿泊、将来の拡張に残せる余力です。現時点では、大手前も万博記念公園も、その意味での面積は確定していません。

災害時に人が集まれるかをシミュレーションする必要があります

どれだけ頑丈な庁舎を建てても、必要な職員が到着できなければ行政の中枢としては動きません。ここが立地選定でいちばん重要な検証項目だと考えています。

大阪府はすでに参集人数の試算を持っています。府庁業務継続計画では、職員の居住地、本人や家族の被災、河川を渡れるかどうか、自転車の移動速度などをもとに、時間帯ごとの参集可能人数を計算しています。南海トラフ巨大地震の推計では、大手前では必要な人数を確保できる一方、咲洲では初動の司令塔を立ち上げる要員に限られるとされています。津波警報が出ている間は、咲洲庁舎に勤務する職員も原則として大手前に参集する運用です。

ただし、この試算は大手前と咲洲を対象にしたものです。万博記念公園を加えた三地域を、今の条件で比べたものではありません。だから私たちは、条件をそろえた再計算を求めています。職員の居住地(個人を特定しない町丁目か1キロメッシュ)、曜日と時間帯、移動手段、1時間から72時間までの経過時間、橋・トンネル・浸水・延焼・交通規制の影響、交代制と1週間の常駐。ここまで条件をそろえた比較です。

公開資料だけでは、三地域の参集人数は確定できません。候補地を決める前に、行政が持っている匿名化データで比較し、その結果を公表してほしいと考えています。

災害時にも機能し続ける副首都を

災害直後に数時間動くだけでは副首都とは言えません。政府業務継続計画では、非常時に優先される業務を1週間にわたって交代制で続けられる人員と執務環境が求められています。同じ基準で候補地を見るべきです。

確かめるべきなのは、非常用発電の出力と連続運転時間、1週間分の燃料と補給経路、受電系統と変電所の独立性、衛星と無線と有線と携帯回線の多重化、上水と井戸と貯水槽の量、下水が止まったときの処理、食料と飲料水と医薬品と寝具、そしてサーバーや空調やエレベーターの優先順位です。

万博記念公園には備蓄倉庫、井戸設備、物資や部隊の受入機能があります。それでも「万博記念公園なら1週間自立できる」とは考えていません。必要な容量を具体的に積み上げなければ分かりません。大手前にも咲洲にも既存の設備があります。三地域について、同じ様式で最新の容量と継続時間を比べ、公表することを求めます。

大手前にも咲洲にも、強みはあります

私たちが万博記念公園を推しているからといって、他の候補地の利点を小さく見せるつもりはありません。

大手前

府庁、府警、国の出先機関がすでに集まっています。直線5キロ内に災害拠点病院が6施設4,413床あり、半径5キロの人口は約126.2万人。Osaka Metroと京阪の2事業者が使えます。行政、医療、人口、交通のどれをとっても即応性は高いと言えます。確かめてほしいのは、5区画約4.1ヘクタールで必要な機能が入るのか、分かれた区画を一体で運用できるのか、いまの庁舎機能を維持しながら建て替えられるのか、そして行政機能の集中そのものが単一障害点にならないかです。

咲洲庁舎周辺

延床約14.9万平方メートルの高層庁舎がすでにあり、府の行政部局が入っています。港湾、MICE、ホテル、展示施設も集まっています。既存の資産として、これは無視できません。確かめてほしいのは、津波警報中に職員や交代要員が到達できるのか、橋とトンネルと鉄道が同時に止まったときどうするのか、庁舎と接続道路と駅ごとの浸水の深さと通行できない時間、5キロ内に災害拠点病院がないことをどう補うのかです。

なお夢洲には大規模な用地がありますが、国際観光拠点や記念公園などの開発が進んでいます。咲洲庁舎周辺と夢洲は一括りにせず、別の条件を持つ候補として分けて考えるべきだと思います。

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このページの公開日 2026年9月4日/最終更新 2026年9月4日。新しい資料や数値が確認できた場合は、内容を更新し、更新日を書き換えます。